新興国と資源国通貨に投資資金が流れる

新興国への投資ブームから資源国通貨が買われている

リビアに各国が介入したことで中東問題が長期化している。原油価格は上昇基調をたどるだろう。商品価格の高騰に伴うインフレは資金調達コストを上げ、所得の海外流出となる。欧州では金利上昇、米国は弱い消費とあいまって、大きなダメージとなる。その原因となっている中東諸国は政治システムが確立しておらす、若者の人口比率は高いが失業率も高い。一国の政情不安が周辺国に広まりやすいこの地域に他国が介入すると問題が長期化するため、成り行きに任せざるを得ないという厳しい現状にある。

 

リーマン・ショック後の調整が終わり、2011年の株式市場は上向き予想だった。しかし、インフレ懸念や不安定なマーケットが上向きの循環を長期化させる期待を持たせてくれない。リスク性資産を中心に資金は流入するが、その撤退も早い。政治・政策リスクとインフレリスクを上手くコントロールできる先進国に資金が入りやすくなり、相対的に先進国のパフォーマンスが上かっている。

 

一方、債券市場は、バブルの色合いが濃い。特に注意したいのは新興国で、物価上昇率が高く、実質政策金利が追いついていない(図表2)。政策金利がマイナスになっている国が多く、このままでは確実にインフレが加速する。名目GDP比3%以上の財政赤字となっている国は約半数で、3年以上連続で赤字となっている国も多い。各国の中央銀行の想定を超えてインフレが進めば、海外投資家の資金は勢いよく逃げ、グローバルマネーフローに対する最大のリスク要因となり、波乱含みの展開が予想される。

 

一方で先進国はインフレの面で大きな心配はなく、基本的には日本や米国、財政が安定している欧州諸国には堅調に資金が入ってくるだろう。中でもオーストラリアやカナダなどの資源国は中長期的な成長シナリオを描きやすい。実際の市場動向ではなく、市場の雰囲気で価格が決まるという財政面での怖さに注意すれば、堅調な動きを見せよう。

 

リーマン・ショックをはじめ、マーケットでは過去に事例のない事象が起きている。新興国の台頭によって資金の流れも変わった。マネーフローはファンダメンタルズの良し悪しとインフレ懸念に対する不安感、先進国の金融政策があいまって動く1年になるだろう。